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リチャード・ガッツォ・インタビュー

よそのサイトで行ったインタビューです。

リチャード・ガッツォはTokyo MX TV 「5時に夢中!」の赤ふんレポーターで注目を集めた男。

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略歴:フランス、パリ生まれ。日本のアニメやテレビ番組を見て育ち、日本映画のファンに。名門ソルボンヌ大学で映画と日本語を専攻し、23歳で来日。モデル・タレントの仕事を中心に活躍中。日本語は漢字の読み書きもできるレベルです。このインタビューも会話はすべて日本語でした。

ケイスケ : 僕ら、知り合って長いよね。

リチャード : 僕が日本に来て1年目に会ったから、知り合ってもう5年ぐらいになるね。

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ケイスケ : 最近はタレントとして着実にキャリアを積んでるよね。今、東京MXでやっている「5時に夢中!」の月曜ふんどしレポーターもいいし、前にやっていたNHKの語学番組のときは極東ブログっていう有名ブログでキャラが立っているって取り上げられてたよ。

リチャード : それ知らなかった。すごくうれしい。

ケイスケ : とりあえず自己紹介してくれる?

リチャード : 皆さんはじめまして、リチャード・ガッツォと申します。フランス、パリ出身の29歳です。

ケイスケ : 今やっている仕事について教えてくれますか?

リチャード : 今やっている仕事は色々あります。まずは、モデルの仕事で、ファッションモデル、ファッション・ショー、イベント、エスコートなど、雑誌、テレビの仕事で、司会や取材もしていて、テレビドラマのお芝居もやっています。他には、トークショーやマナー講座などもやっていて、地方にも行って、色んな人達と会って、フランスの話などもしています。

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日本に興味を持ったきっかけ

ケイスケ : 日本に来てみようと思ったきっかけは?

リチャード : 日本に来た理由は子供の頃からずっとアジアに興味があったから。フランスでは日本のアニメや映画、音楽などのテレビ番組が放映されていて、子供の頃はよく見てた。日本はとても遠い国というイメージだったけど、いつか行ってみたいと思ってた。ソルボンヌ大学では映画学科を専攻したんだけど、そこで日本の映画を観てから、日本人同士は仲がいいと感じた。それで大学の夏休みに友人と一緒に三週間ぐらい日本に観光旅行して、もっと興味が深まった。それでフランスに帰国してから映画学科以外にも日本語の勉強を始めたんだよね。日本語の勉強はやればやるほど面白くなってきて、ますます日本が好きになって、1~2年後にもう一度来日した時は日本に住んでみたくなった。フランスでは既にモデルや俳優の仕事をしてたけど、まさか日本でもやれるとは思っていなくて、半年ぐらい日本に住んでみたらモデルや俳優の仕事も来るようになった。きっかけというよりも、日本に行く理由が頭の中でどんどん大きくなったかな。それがちょうど6年前。

子供の頃の日本体験

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ケイスケ : フランス人から見ると日本人同士は仲がいいように見えるんだ。うる星やつらの世界かな。

リチャード : そのマンガ知ってる。そんな感じだね。

ケイスケ : 当時の日本のイメージをもっと具体的に説明してくれる?

リチャード : ヨーロッパ人としては、アジアは遠くて謎でエキゾチック。もちろん、アジア人の女性もミステリアスで興味があったよ。昔からフランスのテレビや映画館でアニメやマンガ、日本映画を頻繁に見ていたけど、実際に来てみたら色々ととびっくりしたね。同じアジアでも日本は中国や韓国とはかなり違うし、日本とヨーロッパの文化は似ていてるところがあって、歴史も長く文化も深くて、アジアの中で日本が一番ヨーロッパ的だと思うね。具体的に言うと、フランスでは日本のテレビ番組、映画、音楽、アニメ、マンガはいっぱい放送されていて、特に印象に残ってた。それから、侍・芸者、畳、お寿司はお決まりなイメージだけど、それも日本だけの特徴だった。でっかいアジアのなかですごく小さな国なのに、特別な文化と食べ物、歴史があって、それぞれがすべてビジュアル的だよね。色のコントラストとか着物など、それらは子供の頃からすごく印象に残ってた。まったく行ったこともないのに、日本語も分からないのに、日本に行ってみたいと思った。中国や韓国に対してはそんな思いは沸かなかったし、ミステリアスとも感じなかった。

ケイスケ : ふーん、中国や韓国はともかく、日本には来て見たいと思ったんだ。そこは詳しく聞きたいけど、とりあえず昔見ておもしろかったアニメとかについて教えてよ。

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リチャード : 子供の頃よく見ていたのは、アニメとヒーロー物、仮面ライダーなどの戦隊物かな。80~90年代のフランスでは子供向きの番組はほとんどやってた。マンガはなんでもあったかな。ドラゴンボール、セーラームーン、マジンガーZ、宮崎駿、マジカルガールズ、ミンキーモモ、北斗の拳、シティーハンター、ウルトラマンシリーズもやってた。タイトルがフランス語でね。この時代にはまだテレビゲームがなかったし、子供だったから本も読まなかったのでテレビのジェネレーションった。今よりもずっとテレビを見ていた。今はむしろインターネットかな。マンガのイメージとテレビのヒーロー物のイメージが強かった。大学時代は、日本語の勉強も兼ねてテレビドラマもよく見ていたね。特に好きだったのは松嶋奈々子主演の「やまとなでしこ」かな。

ケイスケ : フランス人から見て松嶋奈々子っていいの?

リチャード : 僕はいいと思う。けっこう好み。

ケイスケ : それ聞いて喜ぶ日本女性は多いと思うよ。松嶋奈々子って日本じゃ普通の顔だからね。で、「やまとなでしこ」の他には?

リチャード : あと北野たけし、宮崎駿の映画は全部映画館で上映していたし、テレビでも放映していたから見てた。でもクイズやお笑い、バラエティ番組は一切放映されていなかった。NHKのニュース・ドキュメンタリーなどはたまに放映されていたかな。日本に来て驚いたのがバラエティ、お笑い、クイズ番組が圧倒的に多いこと。



日本のテレビの印象

ケイスケ : 僕はアメリカに住んでたけど、確かにバラエティが多いのは日本のテレビの特徴だね。
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リチャード : フランスと較べても日本は圧倒的にバラエティ番組が多いね。あとお笑いとクイズ番組。それから負けたら痛い罰ゲームとか。日本の芸能人はこんなにいじめられのって最初に見たときはびっくりしたけど、それも好きになったね。

ケイスケ : 日本人は殴ったり叩いたりの中で仲の良さを確認するってことかな。

リチャード : 日本のテレビはなんか中毒になる感じなんだよね。最初の1~2年間はそれ程見ていなかったけど、日本に落ち着いてからはだんだんテレビも頻繁に見るようになって、最近の生活スタイルは朝起きるとすぐにテレビをつけて、朝のニュース、ワイドショー番組の「スッキリ」とか、「めざまし」とかは必ず見ている。興味深いのは、日本のニュース番組ではニュースを流しながら出演者がそのニュースに自分の考えをコメントすること。フランスではニュース番組はただニュースを流すだけで自分の意見などは言わず、そういう番組は夜遅い時間帯にはあるけどすごくまじめな番組。日本では朝の番組でニュースのコメントをしながらゲストの意見も聞いて、たった今、何十人も死亡したような悲劇的なニュースを流した直後にお笑いの話があったりで、日本は何でもありっていうのが面白い。それからお昼の時間帯の笑っていいともが大好きになった。全然意味の無いおバカなゲームをみんなでやっているのも面白くて笑っちゃう。日本のテレビはいつも同じタレントが色んな番組に沢山出演していて、最初は誰れだか分からず、名前も分からなくても、毎日ひっきりなしに露出しているから、顔を覚えて好きになってくるし家族のメンバーみたいに思えてきちゃう。

ケイスケ : 僕は逆にアメリカのテレビドラマに中毒になったけどね。アメリカのドラマって本当に面白いから。逆に日本のバラエティはあまりのレベルの低さにバカかと思う。昔はテレビって「一億総白痴化」って言われてたんだよ。「白痴」は英語で retarded ね。「100 million returds maker」って感じかな。

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リチャード : 「だが、それがいい」

ケイスケ : (笑)

リチャード : クイズ番組では負けると罰ゲームがあって、いじめられたりするけどそれも面白い。フランスのテレビはタレントは才能があるからテレビに出ているけれど、日本では大体のタレントは才能があるから沢山の番組に出演しているわけではなくて、沢山の番組に露出することで名前と顔が有名になって、才能あるタレントと評価されているように思う。

ケイスケ : ありゃー、見抜いちゃったよ。リチャードは頭いいね。いや、それが日本の芸能界の戦略なんだよ。

リチャード : アイドル、お笑い芸人、女優、俳優さんが、毎日毎日、沢山のテレビ番組やCMに出ているから自分の友達・家族のように思えてくる。それもやっぱり毎日テレビを見ているからで、番組自体が特に面白くなくてもメンバーを揃えれば、食事していても何をしていて、自分の友達だから、面白い。多分、自分の友達が出ても面白く思える。僕は日本人じゃないのにね。あとはやっぱりクイズ番組がすごく好きかな。色んなメンバーを揃えておバカな質問もあり、面白い質問もあり、まじめな質問も何でもありで、クイズに正解すると美味しいものが食べられて、外れたひとは食べられないっていうのがすごく面白い。日本のクイズ番組は色んなスタイルがあるけど、それぞれみんなヨーロッパには無いよ。ヨーロッパ人はプライドが高いから、有名になると鼻が高くなって面倒くさい番組には一切出演しない。有名なニュースキャスターや俳優、女優はクイズ番組などには絶対出演しないし、日本のようなバラエティ番組に出演しろなんて言われない。

ケイスケ : たしかにカトリーヌ・ドヌーブがバラエティに出るなんて考えられないもんね。日本はハリウッドのスターを呼んで、本人たちが本国ではやらないようなバカなCMを大金をかけてやらせる。1日の拘束で1億円とかはハリウッドスターにとっても魅力だから、日本以外では放送しない条件で仕事を受ける。これについては面白い話があるんだけど、とある日本在住のアメリカ人が日本で放映されたハリウッドスターのおバカCMを集めてネットで公開したら本国で反響になって、デカプリオが弁護士を立てて「公開するな」って脅してきた。

リチャード : 日本では、すごく有名な芸能人なのに、殴られたり、小麦粉かけられたり、辛いもの食べさせられたり、本当に何でもありなのが面白い。すごく稼いでいるひとや有名なタレント、何十年も芸能活動しているひとが一般人みたいになる瞬間があるのが面白いし、それも笑える。

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ケイスケ : 日本に来る前と来てからで感じたギャップってある?



来日前の日本のイメージ

リチャード : 日本に来た理由のところでも話したけど、日本のイメージはビジュアル的で、マンガとか侍とか大都会とかっていう感じで、最初に日本に観光客として来た時には「ああ~すごい!ディズニーランドみたい」って思った。日本に来てからのギャップというよりは、観光客として来た時と、実際住んでみてからのギャップと言ったほうがいいかな。何でも綺麗で、何でもあって便利で、みんな笑顔で明るくて、優しい。街も綺麗だし、人も多いけど、何も問題も無く、夜遅く街中を歩けるし、安全。観光客として来た時は、予想以上に、日本は素晴らしいと感じた。でも、実際日本に来て、生活を始めたら、やっぱりギャップはあった。ただ、それは逆に言うと、日本に来る前はとても大変そうな所というイメージだったのが、実はそうでもなかった、とも言える。まだ日本に行ったことがない時は、テレビを見たり、本や雑誌を読むしか日本の情報を知ることが出来なくて、そういうものから知った情報では、東京という街は人が多すぎて歩きにくいし、空気も汚いイメージ。

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ケイスケ : 空気が汚いってのは水俣病や光化学スモッグのイメージかな。それって4~50年ぐらい前の話だよ。

リチャード : それにまだ昔のままの文化が残っていて、東京の中でも侍と芸者がまだ歩いていると思っていた。

ケイスケ : 銀座には着物のホステスがいるから、あながち間違いでもない。

リチャード : 例えば、フランスでも、色んな面白い情報がニュースで流れていて、かつらの話とか男性の下着の話とか、何でもあって、日本では大げさに思われるような情報でも、すごく興味をそそられて、益々日本に行ってみたいと思った。その他にも、オタクの話やメイドカフェ、秋葉原の話など、すごく刺激的に感じていた。

ケイスケ : かつらの話って何? あとメイドカフェって刺激的なの? もともとはフランスのファッションでしょ。

yoko_jinnai.jpg陣内智則さんと「59番目のプロポーズ」撮影現場で


リチャード : まあ、たしかに日本に来て見たら思ったほど変じゃなかった。もちろん、東京では侍も芸者も歩いていないし、みんな仕事しているけど全てがサラリーマンでもない。電車に乗っても、地下鉄なども朝のラッシュ時間以外は普通に乗車も出来る。ヨーロッパ人の思い描く日本のイメージは極端すぎるものばかりで、面白そうだけどどこか大変そうな国だと感じている。人間関係もなさそうで、男性は強くて冷たそうで、女性は何でも「はいはい」と男性に従っているイメージがあった。でも日本に来て、普通の家庭で夫が外で働いて稼いでいて、妻は専業主婦なのにお金の管理は奥さんが握っていて男にはそんなにパワーが無い。日本人の男は侍のイメージがあるからマッチョで強いと思っていたけど、本当はそうじゃなかった。奥さんにお金を預けて気を使いながらお金を貰ったり、帰宅が遅くなる時も奥さんに謝りながら言っても怒られているのにはびっくりした。外では夫の後ろを歩いていも家庭の中では立場が逆転してしまうのは面白い。

ケイスケ : いや、その通りなんだよ。日本は意外と女が強い。もともと強いところに欧米のレディーファースト文化が入ってきちゃったものだから、余計に強くなっちゃった。最近は日本の男もそのことに気がついてきて「男性差別だ!」って言い始めたんだよね。ネット見てるといろいろ出てくるよ。欧米は女性もそれなり自立してるでしょ。だからレディーファーストもありだと思うんだけど、日本の女性は自立はしないで権利は主張する。そして男もそれで良しとしちゃってるというか、女を甘やかして満足しているというか。

リチャード : でも日本人はみんなまじめに働いているよ。日本では仕事はとても大事なことで、仕事がないと社会では認められないし、色んな意味で社会人ではないと思われる。

ケイスケ : うーーん、それもどうだろ。日本のニュースは人を報道するときに職業を言うんだけど「80歳無職」とか言うのはどう思う? 80歳なら無職だろ、普通。

リチャード : まあね。

ケイスケ : ところで、日本の生活で困ったことは?



日本の生活で困ったこと

リチャード : 生活で困ったことは、まずは交通手段かな。特に東京は難しくて大変で、六年前はまだ表示も日本語だけで、今は英語の表示もあるけどとにかく分かりにくかった。路線はJRとか私鉄、地下鉄など種類も多いし、会社も違うから乗り換える時は切符も買え換えなくてはならないし、最初は難しくてよく迷ったし本当に大変だった。あとは人が多いのには慣れていなくて困った。パリも都会だけど、東京よりはるかに人は少ないよ。最初の頃は学校に通っていたけれど、朝、満員電車に乗れなくてよく遅刻していた。外国人だからアパートを借りるのは難しくて、いい場所や部屋は探せなかったから、狭い部屋しかなかったのは残念だった。

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ケイスケ : アパートを借りるときの保証人システムは日本人としても腹が立つよ。

リチャード : あとは和式のトイレなども大変で、公共施設や学校はまだ和式が多かったので困った。日本語もまだまだ未熟だったから、スーパーで買い物する時など品物には日本語しか明記されていないから、何でも同じようにしか見えなくて、特に調味料などは種類も多くて、日本料理を教わって材料を買ってもよく間違えてしまって、まったく違う味の料理を作ってしまったなんてよくあった。他にも大変なことや不自由なこともあったけど、それでも東京はまだ便利なところだから、住みやすかったかな。24時間営業のコンビニやレストランなどは海外では珍しいから、ヨーロッパに帰ったら、逆に困るかもしれない。ヨーロッパやパリにはコンビニなども無くて、日本は夜遅い時間に突然何かほしいと思っても買えるけれど、パリなどはレストランやBAR以外のお店は夜9時には閉まってしまっちゃう。東京は最初は少々困っていたけれど、慣れれば何でも便利で生活しやすい。今は多分フランスに戻って生活しても逆に困ることが多いかも。

ケイスケ : リチャードは日本語が上手だけど、かなり勉強したの? ソルボンヌ大学といえばフランスの東大だから、もともと優秀だったんだろうと思うけど。



日本語の面白さ

リチャード : ソルボンヌ大学では映画学科を専攻していたけど時間的余裕もあったし、初めて日本に観光旅行してから日本が面白いと思ったので、日本語も勉強しようと思った。その当時はフランスではまだ誰も日本語をしゃべれる人もいなくて珍しかったから、日本語に興味があった。8年前は英語やイタリア語を話せる人は沢山いたけど、日本語を勉強するひとはまずいなかった。

ケイスケ : じゃあリチャードは日本のアニメから日本に興味を持った世代としては先駆者だね。

リチャード : 最初は「ちょっとやってみるか」くらいのモチベーションだったけど、やればやるほど、なぜか面白くなった。日本語とフランス語、または日本語と英語は文法も発音も全然違うし、日本語は文法は簡単だけど、漢字、ひらがな、カタカナと三種類も文字があるし、標準語、尊敬語などもあるし、非常に面白い言語だと思う。フランス人が、英語、イタリア語をしゃべるときはちょっと頭の中で通訳すればいいだけで、文法が似ているから単語だけ置き換えて自然にしゃべれるけど、日本語は完全に違うので考え方も合わせなければ駄目で、日本語で考えなければ、日本語はしゃべれないので、それはとても大きな違い。

ケイスケ : 言葉と考え方は結びついている。

リチャード : 日本語で考えるのは面白いし、自分の考え方も変わって新しい考え方が生まれるし思考が広がる。フランス人として考えるだけでなく、少しでも日本人として物事を考えるようになる。人間は単語を覚えてしゃべるだけじゃなくて言葉で考えをつくるのであって、フランス語で考えると考えにあたるフランス語の言葉を捜して、日本語のときは、日本語で考えてその言葉を捜す。フランス語で考えて探した言葉を日本語に訳そうと思っても、日本語にはない言葉もある。たとえば、日本語の「わびさび」という言葉はフランス語に訳そうとしても、それに相当する言葉はフランス語にはないし、その言葉のもつ意味の考え方はフランス人にはない考え方で、その考え方はフランス人には理解できない。でも、日本語で考えれば理解できる言葉になる。

ケイスケ : 「侘び寂び」は僕も分からないけどね。

リチャード : 言葉や文法だけじゃなくて考え方と言葉は密接につながっているから、それが分かってきてからは、もっとまじめに勉強するようになったし、勿論、日本語を覚えてしゃべれないとコミュニケーションは取れないし、その上に、相手の言っていることや日本の文化は理解できないと思った。言葉はコミュニケーションのツールだけじゃなくて、文化も理解するツールだと思う。だから、熱心に勉強したので、文法も早く覚えたし、漢字の書き取りもよく勉強したから、二年間で、1200字の漢字の読み書きが出来るようになった。音読みも訓読みも出来るようになったし、毎日四時間、漢字の勉強をしていた。漢字オタクだった。さすがに、日本に来たからは、それまでのように毎日は勉強できなかったが、まだ知らなかった新しい漢字は覚えた。

ケイスケ : 漢字1200字って言ったら中学生レベルだよ。すごいね。日本語オタクのフランス人モデルってキャラはユニークかも。じゃあ今度は日本女性について聞かせて。

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日本女性について

リチャード : 日本の女性に対しては、ほとんどいいことしか思っていないかな。日本に6年住んでいるけど、それは男として日本人女性を気に入っているからで、日本女性は大好きです。でも、それは見た目だけじゃない。日本人女性の外見について話すと、ヨーロッパ人との大きな違いは日本人女性の方が外見に気を使っている。髪の毛はいつも綺麗で、ちゃんとお化粧している。仕事をしている時、お休みの日、お買い物に行く時など、毎日何をしていてもまずはスタイルを考えている。服や靴のスタイルを考えている。自分は男として女性はそれほど気を使わなくてもいいと思うけど、女性自身が気を使う姿勢はすごく好き。やっぱり女性はいいイメージに思われるのは大事なこと。街を歩いて右左見ても、日本人の女性はみんな綺麗。ヨーロッパ人の女性は綺麗というイメージがあるかもしれないけど街を歩いて右をみたら、あっ綺麗な女性がいるって思って左を見たら、わぁっ!とおもうような女性もいて、朝起きたままの、髪がぼさぼさで化粧もしていないような女性も多い。

ケイスケ : それはリチャードが表参道に住んでいるからそう感じるんじゃないの? あそこは女性がおしゃれして出かける街だからね。普通の街に住んだら化粧していない女性なんてそこらじゅうにいると思うけどなあ。

リチャード : 僕は前は町屋に住んでたよ。日本人の女性は年齢に関係なく、十代の若い子から、奥様、八十代までみんな素敵だと思うよ。僕は日本の地方にも行って仕事をしているけど、ど田舎と言われるような場所でも綺麗な女性は多いと思う。田舎のおばちゃんと言われるような女性でも可愛くて、洋服のスタイルは別にしても自然な感じで、特に肌が綺麗に見える。八十代くらいの女性がお化粧はしていなくても、肌がつるつるでしわも少なくて、綺麗な女性が多い。日本人女性は、肌だけじゃなくて全体的に若く見える。それがすごくいいと思う。長生きしている女性は、健康的に元気なだけじゃなく中身もいいはず。それは、フランス人としては感動する。今のフランス人の年配の女性はみんな元気がなくて、ぼけている人も多いけど、日本人の年配の女性は若くて綺麗。

ケイスケ : それちょっと、ほめ過ぎじゃないの? まあいいけどさ。

リチャード : 外見以外では、日本人女性とフランスに人女性の考え方は全く違う。もちろん、それぞれ個性があるから考え方も色々あるれど、大体のパターンは同じで、最初の1~2年は、日本人女性の心は全く理解できなかったし、誤解も多かった。特に東京のような大都会では人間関係も難しいので、女性との関係も大変だった。フランス人の女性と一番違うところは自分の思っていることをあまり言わないところで、それは今に至っても変わらず問題の多いことで、思っていることを何で言ってくれないのか何で今言わないで我慢しているのかということが多いし、自分のことを好きか嫌いかはっきり言わない。やっぱり人間は相手の頭の中、心の中までは分からないし、色々ヒントは出すけど結局、何も答えが出ないと勝手に解釈してしまう。ああ~じゃあ何も言ってないから、今は大丈夫なんだ‥別に問題無いんだって思ってしまう。でも本当はすごい怒っていたり、傷ついていたりとか。みんな演技がうまいと思った。

ケイスケ : 日本の女性が男に対して好きか嫌いかはっきり言わないのは良く言えば臆病、悪く言えばズルいからだね。とにかく日本人は自分が傷つくのが怖い。人を好きになって後で別れ話になったらダメージが大きいでしょ。だから最初から「好きだ」って言わない。リチャードはイケメンなんだから5回も「好きだ」を言えばそれで十分だと思うでしょ。5回も「好きだ」を言えば女性からも「好きだ」を返して欲しい。でも返ってこない。で、リチャードは「これはもう気がないんだな」と思って別の女性とデートを始める。でもそうするとなぜか前の女性が怒り出す。で、リチャードが「え、なんで?僕のこと好きだったの?」って言う。すると前の女性は「好きだったに決まってるじゃないの」と反論する。で、リチャードは「好きなら好きって意思表示してよ、黙ってちゃわからないよ」って言ってケンカになる。違う?

リチャード : そうそうその通り。

ケイスケ : でもそれってズルいよね。「好きだ」は男から1回言えば十分だし、サービスで5回ぐらいは言ってもいいけど、10回も20回も言わせるのはおかしい。何度も言ってるうちにアホらしくなる。臆病ってのは理解できるけど言い訳にはならない。

リチャード : ようやく相手の本心が分かる頃には、相手との関係が離れてしまっていることがよくあった。日本人女性との恋愛関係は本当に難しいです。でも日本人の女性はとても優しいくて、わがままであっても、それほど相手に押し付けない。フランス人の女性は自分の要求ははっきり言うし、怒る時も手加減しないし、相手のことはお構いなしに感情表現するので、人間関係はずっとけんか状態みたい。日本人女性は優しいから、けんかをしてもそれほどいがみ合わないし、何かしてあげればありがとうとか感謝の気持ちを言ってくれる。フランス人の女性は、男性が自分のために尽くすのは当たり前だと思っているから、何かしてあげても、どれだけ尽くしてあげても、満足することがない。なので、日本人の女性は綺麗で優しくて大好きです。

ケイスケ : いや、だから日本女性もフランス女性のようになりつつあるんだよ。日本ではリチャードがフランス人モデルだから女性が尽くしてくれる部分もあるよ。でも普通の男は虐げられてる。僕は以前、カナダのフランス系のモントリオールに住んだことがあるんだけど、そこでは確かに女性が強かったね。結婚しても苗字を変えないとかね。じゃあ国民性の話題が出たところで、最後に日本人、中国人、韓国人に対するフランス人の印象を教えて下さい。



パリで日本人は好かれるけど中国人は嫌われてる

リチャード : パリに住んでいるフランス人は、15年前くらいまでは、アジア人はみんな中国人だと思っていたし、日本てどこ、韓国てどこ、くらいの認識だったけど、最近は変わってきて、私は中国人です、日本人です、韓国人です、と言われたら、ちゃんとその国の場所や文化や経済事情もわかるようになった。10年前くらいからその国の情報も流れるようになったし、インターネットも普及し始めたから。パリのお店にアジア人が入店すると、店員は、まずは迷惑そうな態度を取る。パリは世界一の観光地で、一年間に何十万人も観光客が訪れるけど、中国人は人数も多くてうるさいし、マナーも悪く、仲間同士でもよく喧嘩するから柄が悪い。

ケイスケ : そういえば僕もカナダでよく中国人と間違われたな。

リチャード : さらに中国人は必ず値段の交渉をするのでパリではすごく嫌がられてる。コーヒー一杯でも値切ろうとする。外見がアジア人に見えたら、中国人だと思っていやなリアクションを取ってしまう。でも相手が日本人だと分かると、ああ~日本人でよかったと安心する。日本人は優しいし、あまり文句も言わないし、値段の交渉もしないし、「こんにちは」とか「ありがとう」をフランス語で言おうと努力している。そうやって一言でもフランス語で言おうとしていることは、フランス人はみんな好きなんです。

ケイスケ : 中国人がアジア人の評判を落としていると。困ったもんだね。

リチャード : フランスはベトナムが植民地だったこともあるので、ベトナムと仲がいいけど、中国はチベット問題などもあって、あまり仲が良くないんです。日本については五年前くらいから日本ブームで、若者たちは日本文化に憧れを抱いている。昔からの日本的な侍やお寿司のイメージだけじゃなくて、今現在のポップやテクノ、渋谷・新宿の町の雰囲気、原宿のファッションなども流行っていて、すごく興味を持っているから、日本へ観光するフランス人、ヨーロッパ人は増えてきました。どんどん日本のイメージが変わってきて、日本人は面白いなあ、どこかヨーロッパ人と近いなあと思ってきた。だから、フランス人は日本に行ってみたいなあ~と思っているし、パリで日本人に会えば、welcomeな気持ちになる。

ケイスケ : 今こそ日本のポップ・カルチャーは世界に打って出るべきだね。

リチャード : その通り。今、ヨーロッパにはアニメで育って日本文化に憧れを抱いている若者が大勢いる。今、日本のアイドルがヨーロッパに行けば、きっと受け入れられると思う。

ケイスケ : たとえばテクノ・アイドル・グループの Perfume がフランスに行ったら受けると思う?

リチャード : Perfumeは音楽性も高いし、彼女たちがカタコトのフランス語で歌ったら受けると思う。

ケイスケ : カタコトがいいの?

リチャード : カタコトがいい。日本語9割、フランス語1割がカッコイイ。

ケイスケ : アドバイスが具体的だね。今日はどうもありがとう。いろいろと面白い話が聞けました。

リチャード : こちらこそ楽しかったです。


2009年2月、原宿にて

リチャードのホームページ
http://www.richardgazzo.com/

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